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第9号
特集:ブランド戦略
定価:2,000円(税込)
発行日:2019年6月15日(会員用PDF版は2019年6月1日発行)
目次
巻頭言
知財司法~平成から令和に向けて
髙部 眞規子知的財産高等裁判所長
特集「ブランド戦略」
商標のさらなる活用に向けて
鈴木 敦彦(一財)知的財産研究教育財団・知的財産研究所 主任研究員
地域経済の担い手である中小企業による知的財産の積極的な活用を支援していくことは、地方創生の観点からも重要である。この支援のためには、中小企業に対して商標に関して分かりやすく適正な情報を伝えること、また中小企業の経営者や従業員、さらには中小企業を支援する側にいる様々な方々にも適正な支援をすることが望ましいと考える。
中小企業経営者から見た商標活用
~「ネジザウルス」の商標戦略
高崎 充弘株式会社エンジニア 代表取締役社長
中小企業の商標出願が増加傾向にあり、知財活用の起点になりつつある。大企業と比べてハンディがある中小企業が、いかにすれば単に防衛的な商標登録ではなく、自他商品等識別機能を十分に発揮し「攻め」の活用に転じることができるかについて、わが社が開発した「ネジザウルス」の商標活用を事例にして考察した。商標の3大機能である出所表示機能、品質保証機能、宣伝広告機能を中小企業が効率的に働かせるための4つのステップを提案している。それらは(1)名前に込める願い(2)登録商標と顧客満足のリンク(3)名は体を表す(4)商標の恩返しであり、わが社が提唱・実践しているMPDP(マーケティング、パテント、デザイン、プロモーション)プロセスとも一致することがわかった。
「商標活用」のプロセス・効果と今後の方向性に関する考察
土生 哲也土生特許事務所 弁理士
「商標活用」の本質は、商品名やサービス名、ロゴ等の商標を効果的に使用して、ビジネスの維持・発展に活かすことにあるが、商標の使用によって生じる「商標のちから」を引き出し、かつ補強するのが「商標権のちから」である。これからの時代の商標活用には、二つの「ちから」を効果的に活かして、商標を登録してトラブルを回避する「守りの商標活用」だけでなく、新たな市場を創造し、需要を喚起するための「攻めの商標活用」への取組みも求められることになるであろう。
寄稿
台湾における商標関連行政訴訟―制度と裁判例の紹介―
引地 麻由子川崎グリーン法律事務所 弁護士・弁理士
台湾では日本製品や日本ブランドの人気が高く、多くの日本企業が商標権を活用して台湾市場に進出している。台湾と日本の商標制度には類似点もあるが、個々の登録要件に関する判断手法には異なる点もある。本稿では、台湾における商標制度と行政訴訟制度について概観した後、日本企業の商標について争われた行政訴訟の最近の事例を紹介する。あわせて、台湾に商標出願を行う際の留意点を整理する。
IPランドスケープ
(第2回)IPランドスケープの底流
―情報分析を組織に定着させるために
野崎 篤志株式会社イーパテント 代表取締役社長/知財情報コンサルタント
知財法論壇
(第4回)「知的財産専門教育」への大阪工業大学の取り組み
杉浦 淳大阪工業大学知的財産専門職大学院 教授
フリーコンテンツ時代の情報リテラシー
(Vol.16)社交的な学生の「不都合な真実」
宮武 久佳東京理科大学教授
Column 知財の国際舞台から
夏目 健一郎WIPO PCT 国際協力部部長
知財世界の醍醐味
(Vol.12)無洗米製造方法事件
半蔵門伝次郎水産会社勤務、一級知財技能士(特許専門業務)·弁理士
シリーズ「企業に聞く - 知財と標準化」
(第11回)「知財・標準化をツールとして活用してデザイン経営を推進」~株式会社アクロエッジ~
福永 敬一一般財団法人日本規格協会 出版情報ユニット 出版情報企画課長
グローバル知財情報
ブラジルにおける知的財産政策の動向
岡本 正紀日本貿易振興機構(ジェトロ)サンパウロ事務所 知的財産権部長
米国最高裁判例評釈
特許侵害を理由とする損害賠償請求に対してlachesの抗弁を適用することの可否
― SCA Hygiene Products Aktiebolag v. First Quality Baby Products, LLC, 580 U.S.___ (2017)
合衆国最高裁判所2017年3月21日判決の評釈
尾島 明最高裁判所首席調査官
知財関連省庁からのお知らせ
平成30年の税関における知的財産侵害物品の差止状況等について
財務省 関税局 業務課 知的財産調査室 上席調査官 成田 美咲
商標に特化した初めての活用事例集を作成しました!
~「事例から学ぶ 商標活用ガイド」~
特許庁 商標課
2019年知的財産権制度説明会(初心者向け)を開催!
~中小企業の審査請求料・特許料一律減免4月開始!~
特許庁 総務部 普及支援課 産業財産権専門官