最新号
IPジャーナル最新号
第31号
特集
「商標活用」
「更なる商標制度の普及啓発・商標の活用促進に向けて」
「商標の活用実態に関する調査研究」
「中小企業における商標活用について~現場の商標弁理士から見える実態~」
「ブランドの有効な活用法について―企業活動を活性化し、企業の価値を上げるために―」
定価:2,000円(税込)
発行日:2024年12月15日(会員用PDF版は2024年12月1日発行)
目次
巻頭言
・IPトランスフォーメーションによる新たな知的創造サイクルの構築
奈須野 太内閣府知的財産戦略推進事務局長
特集「商標活用」
・更なる商標制度の普及啓発・商標の活用促進に向けて
藤村 浩二特許庁 デザイン経営プロジェクトチーム(審査業務部 審査業務企画官)
大澤 恒介特許庁 審査業務部 商標課 企画調査班 企画調査係長
鈴木 優佳特許庁 審査業務部 商標課 地域ブランド推進室
本稿では、特許庁における近年の商標制度の普及啓発及び商標の活用促進に向けた取組として、2019年に作成し公表して以来5年ぶりに内容を刷新した「事例から学ぶ 商標活用ガイド」や地域団体商標の関連施策と共に、デザイン経営プロジェクトチームが展開する商標に込められた経営者の想いや背景にあるストーリーを紹介するメディア「わたしのStoryMark」について紹介する。
・商標の活用実態に関する調査研究
小暮 理恵子(一財)知的財産研究教育財団知的財産研究所 主任研究員
昨年度、知的財産研究所では特許庁より委託を受けて「商標の活用実態に関する調査研究」を行った。これは2018年度に行われた「商標権取得による効果及び商標制度の活用に関する調査研究」の流れを受けたものであるが、新型コロナウィルスによりもたらされた社会環境の変化を受けて従来とは異なる商標の活用が行われているのではないか、同調査研究では焦点が当てられていなかった中小企業やスタートアップの活用実態についてより包括的に把握すべきではないかなどの問題意識より、同調査研究からさらに間口を広げ、発展させることを期して行われた。本稿ではこの「商標の活用実態に関する調査研究」について簡単に紹介する。
・中小企業における商標活用について
~現場の商標弁理士から見える実態~
五味 和泰弁理士
中小企業の商標活用の実態や課題は十分に解明されていません。弁理士としての実務経験とデータを基に、本稿では中小企業の商標活用の現状を分析し、中小企業特有の商標戦略の在り方を考察します。
・ブランドの有効な活用法について
―企業活動を活性化し、企業の価値を上げるために―
橋本 千賀子弁理士
ブランド(商標)は企業の重要な資産であり、うまく活用することによって企業の価値を飛躍的に増大させることができる。日本企業が欧米企業に比べて苦手と思われるブランドの活用について考察する。
寄稿
鈴木 健治経営コンサルタント・弁理士
本研究は、統合報告書での特許情報開示が、経営および投資の意思決定にどうすれば役立つのかの洞察を提供する。2024年10月13日までに入手可能な近年の統合報告書のうち、経営戦略と整合的な特許情報開示を、1では特許法の条文の理解を深める観点で、2では経営学の区分で概説した。開示例を参照しつつ、顧客や事業を創造しマネタイズしていくためのインタンジブルズ(無形項目)の結合の仕方等に焦点を当て「インタンジブルズ・ミックス」という概念を導入した。インタンジブルズ・ミックスは、事業戦略では稼げる強みとなり、全社戦略では事業ポートフォリオ全体への利益貢献度の高い共通資源となる可能性が示唆された。
IPランドスケープ
(第20回)IPランドスケープ実践におけるハイプ・サイクル攻略法
塩谷 綱正株式会社イーパテント・アクティス 代表取締役
IPランドスケープの語は、その定義を変遷させながらも定着した感がある。しかしながら、企業における実践度には大きな差が存在するのが実情だ。加えて、実践度を的確に表現する手段がないことが、課題の整理を難しくしている。本稿では、このほど実施されたIPランドスケープ実務者アンケートの結果に基づき、実践途上企業への示唆提供を試みた。実践度の表現方法としては“ガートナー ハイプ・サイクル”を採用した。
フリーコンテンツ時代の情報リテラシー
(Vol.38)「クリエーター目線」で著作権のセンスを
宮武 久佳東京理科大学嘱託教授
Column 知財の国際舞台から
夏目 健一郎WIPO 事務局長補
知財世界の醍醐味
(Vol.34)機能水事件
半蔵門伝次郎水産会社勤務、一級知財技能士(特許専門業務)・弁理士
地殻変動に揺れるエンタメ業界
(第10回)日本の映像業界を揺るがすフリーランス新法
―新法で業界のフリーランスは救われるのか―
弁護士 中山 茂 × 弁護士 國松 崇 × TBS 矢内 一正
エンタメ業界(映画・演劇・テレビ・アニメ・音楽・出版・ゲーム等)の法律実務に関する仕組みは、もともと複雑であり、業界特有の要素が強いものであったが、コンテンツ自体が変貌し、ビジネスモデルが時代とともに急速に変化していく状況下で、ますます混迷を極めた状態に陥っている。
1年前の本連載第6回(本誌27号掲載)では、当時制定されたばかりのフリーランス新法について、その概要を駆け足で確認した。そこでは「ギャラは後で決める」という業界慣習が崩れていくおそれがあるとの予想も述べた。本連載第10回では、2024年11月1日の同法の施行を迎え、あらためて内容を確認しつつ、見えてきた課題を明らかにしたいと思う。そして、それについていささか筆者らの私見を述べたいと思う。
グローバル知財情報
・シンガポール知財探訪 ― 序の巻
西尾 元宏ジェトロ・シンガポール事務所 知的財産部長
日本貿易振興機構(JETRO)シンガポール事務所に着任数カ月で見聞、経験した現地の知財関連の話題を簡潔にご紹介する。具体的には、ASEAN各国におけるイノベーション環境の評価(WIPO・GII)、知財侵害(模倣品)対策についての様々な取り組み、近年のECプラットフォームにおける対応が挙げられる。加えて、8月から9月にかけて行われたIP Week(@シンガポール)や、AWGIPC・日ASEAN 特許庁長官会合(@ブルネイ)についてご紹介する。
ワシントン便り
蛭田 敦(一財)知的財産研究教育財団知的財産研究所ワシントン事務所所長
知財関連省庁からのお知らせ
・文化庁からの著作権関連情報発信・改めてのお知らせ
~「AIと著作権」関連情報・海賊版対策情報~
文化庁著作権課 著作権調査官 弁護士 三輪 幸寛
前・特許庁 総務部 企画調査課 特許戦略企画班 特許戦略企画係長 山﨑 歩美