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第29号
特集:「地理的表示保護制度」
定価:2,000円(税込)
発行日:2024年6月15日(会員用PDF版は2024年6月1日発行)
目次
巻頭言
・知財を経営のど真ん中へ
小林 敬一古河電気工業株式会社 取締役会長
特集「地理的表示保護制度」
・地理的表示保護制度について~運用見直しの前と後~
平川 さやか農林水産省輸出・国際局知的財産課地理的表示保護推進室 地理的表示審査官・弁理士
日本では、GI法に基づき、地域との結び付きを有する農林水産物・食品などの名称を知的財産として保護するGI制度の運用が行われているが、令和4年11月にGI制度の運用を見直した。本稿では、GI制度について、運用見直しの前後に焦点を当てて解説する。
・主要諸国・地域における地理的表示に係る動向1
井手 李咲(一財)知的財産研究教育財団 知的財産研究所 主任研究員
・地理的表示保護の国際的動向と日本の課題
今村 哲也明治大学情報コミュニケーション学部 教授
本稿では、EUのGI制度の変化と拡大、日本の対応を考察する。原産地との結び付きに関して社会的評価を重視する傾向、社会的評価における歴史的要素の役割、手工芸品や工業製品への拡大を巡る課題、生産地の追加や広域生産地への拡大、貿易障壁としての側面、相互承認の留意点を指摘し、日本のGI制度の在り方と戦略的な保護・活用の必要性を提言する。GIがまだ普遍的な国際的規範ではないことを踏まえ、商標などの知的財産や不正競争を防止する規範などとの組み合わせによる対応の重要性を指摘する。
寄稿
・NECデザイン部門から学ぶ「知財組織の役割再定義」
勝沼 潤NEC コーポレートエグゼクティブ チーフデザインオフィサー
井手 裕紀NEC 経営企画部門 コーポレートデザイン部 統括部長
本稿は2024年1月16日に開催された知的財産研究教育財団主催の、未来価値創造フォーラム2024「未来の価値創造に向けた知的財産とデザインの融合」
1の内容から登壇者の発言を抜粋・再構成したものです。
デザインの活用による企業価値向上を目指し、企業のデザイン部門がその役割を大きく変容させる中、2018年には「『デザイン経営』宣言」
2も提示された。
そして2022年、NECはそれまでのデザイン部門の役割を拡大再定義し、デザイン経営へと本格的に舵を切った。幅広い事業領域を持つ同社において、デザイン部門はいかにして自らの存在意義をリデザインしたのか。
その先頭指揮を執り、NEC初のチーフデザインオフィサー(以下、CdO)となった勝沼潤氏と、コーポレートデザイン部 統括部長の井手裕紀氏のお二人が本イベントで語った内容から、企業経営における未来の価値創造のために知財部門が取り組むべき役割再定義の在り方と、その道筋へのヒントを探る。
1 https://ip-edu.org/event20240116
2 経済産業省・特許庁が2018年に発表した政策提言。社会や産業構造が大きく変化する中、日本企業が生き残るためにはビジネスの上流から「デザイン」の考え方や手法を取り入れることが重要であると訴えた。
フリーコンテンツ時代の情報リテラシー
(Vol.36)留学の「メリット」を考える
宮武 久佳東京理科大学嘱託教授
Column 知財の国際舞台から
夏目 健一郎WIPO 事務局長補
知財世界の醍醐味
(Vol.32)飲食店の管理運営システム事件
半蔵門伝次郎水産会社勤務、一級知財技能士(特許専門業務)・弁理士
地殻変動に揺れるエンタメ業界
(第8回)日本の動画配信ビジネスの現状と課題―テレビに取って代わろうとする動画配信サービス―
弁護士 中山 茂 × 弁護士 國松 崇 × TBS 矢内 一正
エンタメ業界(映画・演劇・テレビ・アニメ・音楽・出版・ゲーム等)の法律実務に関する仕組みは、もともと複雑であり、業界特有の要素が強いものであったが、コンテンツ自体が変貌し、ビジネスモデルが時代とともに急速に変化していく状況下で、ますます混迷を極めた状態に陥っている。
本連載第6回と第7回では、映像業界の最新動向や重要なトピックを鼎談形式で取り上げ、その意義や課題を議論した。本連載第8回では、これまでの議論の1つであった動画配信ビジネスについて、現状と課題を論じたいと思う。今や動画配信サービスがテレビに取って代わろうとしているが、そこにはどのような矛盾や問題が存在するのだろうか。
グローバル知財情報
・タイ・ベトナムにおける最近の知財動向
内藤 康彰日本貿易振興機構(ジェトロ)バンコク事務所 知的財産部長
石戸 拓郎日本貿易振興機構(ジェトロ)バンコク事務所 知的財産副部長
日本貿易振興機構(ジェトロ)バンコク事務所知的財産部では、主に陸側のASEAN地域(メコン地域)における知財関連業務を担当しているところ、本稿では、その中でも特に日本ユーザーの関心が高く、動きのあるタイ及びベトナムに焦点を絞って、両国における知財制度の課題や法改正の最新動向などについて紹介する。
米国最高裁判例評釈
・米国商標法における域外適用の可否~Abitron v. Hetronic事件米国最高裁判決の解説~
山口 裕司大野総合法律事務所 弁護士
ワシントン便り
蛭田 敦(一財)知的財産研究教育財団知的財産研究所ワシントン事務所所長
知財関連省庁からのお知らせ
・「中南米知的財産担当官会議」の開催報告
外務省 経済局 知的財産室長 桝田 祥子
・『逐条解説不正競争防止法』を改訂しました
経済産業省 経済産業政策局 知的財産政策室 室長補佐/弁護士・弁理士 黒川 直毅
係員 中村 彩希
・「秘密情報の保護ハンドブック」を改訂しました
経済産業省 経済産業政策局 知的財産政策室 室長補佐 望月 孝洋
不正競争防止法調査員 石原 優輝
・「仮想空間において用いられる画像の意匠登録出願に関するガイドブック」を公開しました
特許庁 審査第一部 意匠課 意匠審査基準室
・「AIと著作権に関する考え方について」の公表
文化庁著作権課 著作権調査官 弁護士 三輪 幸寛
・令和5年の税関における知的財産侵害物品の差止状況等について
財務省 関税局 業務課 知的財産調査室