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第24号

特集:「知的財産情報の開示」

定価:2,000円(税込)
発行日:2023年3月15日(会員用PDF版は2023年3月1日発行)
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目次
巻頭言
・知財・無形資産投資の正統性とコーポレートガバナンス
加賀谷 哲之一橋大学大学院経営管理研究科 教授
特集「知的財産情報の開示」
・知財活用マネジメントを如何に開示するか
荒木 充株式会社ブリヂストン 知的財産部門 部門長
CGC改訂から2年近くが経過し、知財情報として開示すべき本質は何かを改めて考えさせられる。社会価値・顧客価値を実現していくべき企業の重要ファクターを知財面から説明できているか。企業知財担当としての目で見ると、自社の真の強みは何かを可視化して作用を説明することが基本と考える。①知財を「深さ×幅」で捉え、②知財が社会価値に変換される仕組みと、③そこで自社の「秘伝のタレ」知財の存在と作用を示す。こうした3観点からの考え方と取り組み状況を紹介し、最後に知財部門としての今後の課題について触れる。
・KDDIにおける知財情報の開示
川名 弘志KDDI株式会社 総務本部 知的財産シニアエキスパート 弁理士
上野 豊KDDI株式会社 総務本部 知的財産室 知財開発推進グループリーダー
増永 秀樹KDDI株式会社 総務本部 知的財産室 知財戦略グループ コアスタッフ
2021年6月にコーポレートガバナンス・コード(以下、CGコード)が改訂され、2022年1月に「知財・無形資産の投資・活用戦略の開示及びガバナンスに関するガイドライン」(略称:知財・無形資産ガバナンスガイドライン)が公表された。当社は、同年10月に発行した「サステナビリティ統合レポート2022」(以下、統合レポート)において、これらを踏まえた知財・無形資産情報を開示している。この知財・無形資産情報は、中長期的な企業価値向上に貢献するため、投資家目線で重要かつ強みとなる知財の情報を的確に把握し、事業戦略との関係の中で分かりやすく開示することを目指して作成した。
・情報開示を契機とした企業価値向上に資する知的財産戦略の再構築
佐保 優一ソフトバンク株式会社 コーポレート統括 法務・リスク管理本部 知的財産部 ビジネスサポート課 課長
コーポレートガバナンス・コード改訂による情報開示強化への取り組みを契機として、事業戦略や技術戦略、営業戦略など(以下、経営戦略と総称する)と有機的に連動する知的財産戦略を再構築し、企業価値向上に資する知的財産情報開示へのストーリーを組み立てた活動を振り返るとともに、時々刻々と変容する外的要因及び内的要因を的確に捉え、機を逸することなく知的財産戦略へ組み込むための知的財産機能のあるべき姿を考察する。
・富士通における知財情報の開示に関する取り組み
金子 浩之知的財産戦略室
篠崎 光寿知的財産戦略室
大須賀 咲子知的財産戦略室 マネージャー
大城 貴士知的財産戦略室長
和泉 恭子知財グローバルヘッドオフィス長兼知財フロントサービス統括部長
    
2021年6月のコーポレートガバナンス・コード(以下、CGC)改訂に伴い、富士通の知財部門では知財情報の開示内容と方法について検討を重ねてきた。当社の取り組みの特徴は、コーポレートガバナンス報告書の他に、統合レポート、サステナビリティデータブックや当社コーポレートサイトを通じて、それぞれの開示対象を意識した情報開示を行っている点である。本稿では企業による開示例として、開示に至った経緯やその具体的な内容についてご紹介する。
寄稿
杉光 一成金沢工業大学大学院 イノベーションマネジメント研究科 教授
立本 博文筑波大学 ビジネスサイエンス系 教授
波多野 紅美株式会社SBI証券 金融調査部 チーフクオンツアナリスト
天野 達郎三井物産株式会社 建機・輸送車両事業部 部長補佐
本研究では、杉光・立本(2022)で提案されている新しい指標の1つである「重要特許」(同一IPC分類における年平均被引?回数の上位5%)に着目し、本指標と財務データ(ファンダメンタル特徴)に及ぼす影響について2つの仮説の検証を試みた。その結果、仮説1「重要特許の数が多いほど当該保有年度の利益率が高くなる」は支持されず、仮説2「重要特許による財務指標への影響には時間差がある」は支持された。その結果、「重要特許」の指標は時系列分析に適した指標であることがわかった。
    
会社法と特許法との交錯に関するケーススタディ
~大阪地判令和3年9月28日(令和元年(ワ)第5444号)を素材として
松嶋 隆弘日本大学法学部教授、弁護士(桜川協和法律事務所)
本稿は、会社法と知的財産法とが交錯する珍しい事例である大阪地判令和3年9月28日(令和元年(ワ)第5444号)を素材とし、そこに含まれている理論的問題点を検討し、両法間に「横串」を通すための視点を提供することを目的とする。併せて、実務的観点から同判決のケーススタディを行ってみたい。
IPランドスケープ
(第16回)IPランドスケープ推進協議会 活動第2フェーズにかける期待
~9つの仮想IPLから見えてくるもの~
荒木 充・吉田 伸・佐川 穣・坂元 徹・石井 友也IPランドスケープ 推進協議会
IPランドスケープ推進協議会は2020年12月、「企業の事業競争力の強化および知の探索による新たな価値創造の促進による企業価値の向上に加え、我が国の持続的な社会発展を促し、広く公益に寄与する」として有志企業らによって設立された。
今回は、国内有力企業52社が進める2期目の活動の中から「9つの仮想IPL」について紹介する。これは「日本の未来を左右する社会課題・分野9テーマ」に関して、5社程度から成る9チームを組成し、IPランドスケープを行う活動である。異なる概念、言語、手法を有する異なる企業が協同する中で、何が得られ、何が見えてきたのかを紹介する。
※本稿は2022年11月10日に開催された2022特許・情報フェア&コンファレンス 特別フォーラム1におけるIPランドスケープ推進協議会の会員企業によるパネルディスカッションの一部の様子を主催者の許諾を得て作成したものである。
知財法論壇
(第18回)大阪大学知的基盤総合センターにおける知財教育と知財実践
青木 大也大阪大学大学院法学研究科・知的基盤総合センター 准教授
フリーコンテンツ時代の情報リテラシー
(Vol.31)学校、子ども、著作権
宮武 久佳東京理科大学嘱託教授
Column 知財の国際舞台から
夏目 健一郎WIPO 事務局長補
知財世界の醍醐味
(Vol.27)ちりめんじゃこ製造方法事件
半蔵門伝次郎水産会社勤務、一級知財技能士(特許専門業務)・弁理士
地殻変動に揺れるエンタメ業界
(第4回)日本の映像業界におけるハラスメント
―セクハラやパワハラを根絶するために―
弁護士 中山 茂 × 弁護士 國松 崇 × TBS 矢内 一正
エンタメ業界(映画・演劇・テレビ・アニメ・音楽・出版・ゲーム等)の法律実務に関する仕組みは、もともと複雑であり、業界特有の要素が強いものであったが、コンテンツ自体が変貌し、ビジネスモデルが時代とともに急速に変化していく状況下で、ますます混迷を極めた状態に陥っている。
本連載第3回では、「日本の映像業界における製作委員会は諸悪の根源か?―製作委員会方式の今とこれからを考える―」と題し、日本における製作委員会の役割や存在意義について検討した。そして、これに付随する議論として、我が国の映像業界におけるハラスメント横行の原因を製作委員会に求めるような意見も紹介した。
本連載第4回では、日本の映像業界でも問題が明るみに出始め、その後も後を絶たないハラスメントの問題にいかにして対峙すべきか、海外での対策事例等を踏まえつつ、筆者らが考えるところを論じたいと思う。なお、ひとえに「ハラスメント」といっても、様々な種類のハラスメントが存在するが、ここではいわゆる「セクハラ・パワハラ」に焦点を当てて検討する。
グローバル知財情報
・特許情報から見た気候変動対応の動向 - OECD・欧州委員会の共同レポートの紹介 -
白土 博之特許庁審判部審判第16 部門 審判官(元OECD エコノミスト)
気候変動への対応は、現在直面している最も重要で挑戦的な課題の1つであり、その動向について強い関心が持たれている。本稿では、特許情報から見た気候変動対応に関する動向について、OECD・欧州委員会の共同レポートを紹介する。
米国最高裁判例評釈
・州による著作権侵害行為について州の主権免責を廃止する著作権救済明確化法の制定は憲法上の根拠を有するか
Allen v. Cooper, 140 S. Ct. 994( 2020)( 合衆国最高裁判所2020年3月23日判決)の解説
奥邨 弘司慶應義塾大学教授
ワシントン便り
石原 徹弥(一財)知的財産研究教育財団 知的財産研究所ワシントン事務所 所長
知財関連省庁からのお知らせ
・第8回意匠五庁(ID5)会合が開催されました
~新技術への対応など意匠分野の国際協力の強化を確認~
特許庁 総務部 国際政策課 審査第一部 意匠課
・「中国知的財産担当官会議」のオンライン開催報告
外務省 経済局 知的財産室長(当時) 小山 武
・2022年度知的財産権制度説明会(実務者向け)をeラーニングで配信 !
~知財の活用を目指す皆様にお届けします~
特許庁 総務部 普及支援課 地域調整班
IPジャーナルは知財研フォーラムとIPマネジメントレビューを統合して創刊した新雑誌です。
各誌から引き継いだ連載記事もあります。バックナンバーは各誌のウェブサイトをご確認ください。
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